美しき明治の機関車
明治時代の機関車の姿は、現在交通博物館に保存されている岩崎・渡辺コレクションによって伝えられているが、それらの機関車がどんな色に塗られていたかと言うことは、極く初期の錦絵の一部を除いては、全く不明で文書による記憶もきわめて乏しい。われわれが若い頃、明治の機関車をまのあたりにした古老たちの書かれたものや、談による以外には判らない。このシリーズの絵はそれらの伝聞を唯一のたよりに、一部の推定を加えて描いたものである。
おわりのコーナー
ここからあとのページは、この画集としては読者へのおまけである。それはここ数年の私の年賀状と暑中見舞いに描いたシリーズで、かつては年賀状も趣のある木版で刷ったのだが、年と共に数百枚という数の木版を刷るのが、苦痛になって、近年はコピー機を活用している。これも試行錯誤の末、はがきの約1.5倍で描いて縮小するのが適当だと知り、年と共に老いる目と手先の老化を補っている。以下のページに収めたものはその一部だが、コピー印刷でないだけにペンと墨の調子が整っていろので、鑑賞に適すると思うしだいである。